2011年7月16日 (土)

懐かしい場所のニュース


職場に届く倒産情報で、見覚えのある名前が出ていた。

長野県の温泉旅館だ。
民事再生なので、無くなるわけではないのだろうが。


ときどき、予期せずに懐かしい場所の名前を聴くと、
ぎゅぎゅぎゅっと時間が過去に引っ張られるような気分になる。


私は何がしたくってあんなにふらふらしていたんだろう。
人に説明する時には「たぶん、何にも考えてなかったんで」って
笑って終わりにしてしまうのだけど。

当時の私は私なりに、
なんだか生きて行くだけでイッパイイッパイだったのだろう。

中身は大して純朴でもないのに、見た目が純粋そうなだけで
世間様から良い子のように思われていたり、

平和な中流の核家族で、整備された首都近郊の住宅街でマトモに育って、
なんとなく良い高校に入って、良い大学に入って、
そのままうまいこと就活して社会人になるということが、

なんだか納得行かなかったのだ。

まぁ結局そういうことって全て、
幸せに育った苦労知らずだから、自由だからなんだろうけど。

まぁじゃあ当時よりどんだけ自分が大人になったかっていうと、
別に今でもバカさ加減に大差は無いんだけど。


あ、文章に「けど」が多いのはわかっているけど変える気もないんだけど。
仕事の時には気を付けるけどね。


まぁそんな前置きはどうでも良くて。(前置きなのかよ!っていう)


2か月ほど、長野で暮らしていたことがある。
お仕事は朝と夜で、間に5時間ほどの休憩時間があった。

特に、友達もいなかった後半一カ月は、
とにかくヒマさえあれば外に出た。
お散歩コースは何ヶ所かあった。
歩いて行ける日帰り温泉は、思い付く限り全部行った。

川沿いに歩いて、滝の横っちょでフルート吹いたり文章書いたり。
その帰り道に、奥まった趣味的な喫茶店に寄ったり。

車は持っていなかった。
休みの日には、時々バスやロープウェイに乗って出かけたが、
慣れてくると、5時間の休憩の間でも、
2~3キロ先の日帰り温泉に行ったりするようになった。
朝仕事が終わって、布団を干すと、とにかく外を出歩いていた。

地図を片手に、地元の人しか通らないような、車も通らないような細い道を歩いて、
原っぱを抜けて、森を抜けて、坂道を登って。
片道1時間以上掛かっただろうか。
ウォークマンも持たずに、何やらぼんやり考えたりしながらただただ歩くのが好きだった。

そんなコースで一番遠いのが、ニュースで見かけた温泉旅館だった。
比較的大きめの旅館で、露天風呂からの眺めが良くって。
確か、露天風呂も2か所くらいあった。

その温泉から川沿いに歩くコースがあって、しばらく歩くと滝が出てくる。
すごく清々しい道なんだなこれが。

「人っ子ひとりいないような山の中とかは危ないから絶対行かない」
って、東京の親友は言っていたのだが。

なるほど確かに、これだけ見渡す限り人っ子ひとりいない場所は、
か弱い女子的には危ないなぁと納得は行ったけど、なんだか大丈夫だと思っていた。

川沿いの道を歩きながら、
その辺に生えている、よくわかんない赤い実とかを食べながら。

何を考えていたんだろうね。

私がふらふらしていることを聴くと、
周りの優しい人たちは「きっとその経験は役に立つよ」って言ってくれる。

私にはその意味はまだわかんない。

そうであれば良いなって思うけど。

考えた方が良いときと、考えないでおいた方が良いときと。

あの時、ものすごくバカで無知で、自分の足で歩いて、
歩き疲れたころにあの旅館に行って温泉に入って山を眺めていた個人的なことと、

そういう場所が数十億の負債を抱えて民事再生になったりする現在のことと、

それらの点と点が結び付くのは、
私にとってはもう少し先になるような気がする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)